2008年02月15日
SIP業界ってどうよ?
こちらのエントリーの奇想天外さんのコメントが、発端のエントリーとなります。
基本的には、新卒に捧げるSIP業界の大きな枠の俯瞰です。
個別企業さんの解説は、しておりません。この手の話は、某巨大掲示板を見てもらった方が、詳しい可能性があるので。。。(;^_^A
■SIP業界構造
基本的な構造、すなわち、お金の流れは、
キャリアさんをトップとするピラミッド構造
です。(政府系案件を流す、IT土方の構造と一緒です。)
以前も、奇想天外さんが、ソフトフロントさんの取引先企業を見て、「DoCoMo系列なんですかね?」というような発言をされていましたが、そうみえる理由がこちらの話となります。
結局、キャリアさんか、政府(総務省(NICT)か、経産省(IPA)か)のどちらかから、お金が流れているというのが基本です。
これ以外ですと、独自路線のベンチャー系が、ほんの少数存在します。
しかし、ベンチャーに見えても、上記の構造に組み込まれているところがあり、見極めが難しいですし、この手のところは中途重視ですので、新卒の学生さんが、リーチするのは相当に難しいと思います。
補足としては、去年のAsteriskの波が来たので、そこそこ(100社くらい?)には、増えているのではないかとおもいます。
そのため、「Asteriskというキーワード」で、アプローチする価値はあるかもしれません。
※参考記事:http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20060928/249327/
■「SIP」業界とは
さて、本来は、こちらから話をすべきなのですが、あえて、後ろに持ってきました。
なぜなら、悲しいお知らせしかないからです。
「SIP」業界という言い方をするのであれば、「SIP」をメインに扱う業界といいたいところですが、はっきり言って、存在しません。あるのは、
「VoIP」業界
です。
そのため、メインで扱うのは、「電話」であります。「SIP」は、たまたま、その中で普及した一部品に過ぎません。まして、「セッションのためのSIP」を取り扱うところなんて、存在しません。
具体的なアプリケーションとしては、大きく下記の2方向になるのではないかと思います。
上記が、従来のアナログ電話から来る流れで、下記が、IMSの流れを汲むものです。
・電話屋がやっているVoIP
・Webアプリケーション屋(BEAさんやIBMさん)のWebミドルウェア
●これぞ、「SIP」業界
こういう状況ですが、実は、「SIP」業界というべきところが存在しています。
それは、「仕様策定」分野です。(反論意見も、あるかと思いますが。。。)
日本国内であれば「TTC」、世界的には、「ITU」や「IETF」などとなります。
電話やSIPとしての、SIPの仕様を策定するという仕事です。まさに、SIPに関わっているといえそうなところです。
ですが、ここは、
「政治」の世界
です。
私も、詳しく知りませんので、どのようにしてたどり着くのかわかりません。
たぶん、国内組織であれば、総務省かメガキャリア、世界的には、シスコなどの世界レベルの通信メーカーなどに就職するというのが近道だと思いますが。。。
どこに配属されるかは、運であるでしょうから、ギャンブル性が、非常に高そうな気がします。
■ひとまず、まとめ
で、どうなの?というところですが、
飛び込むべき
と、私は考えております。
理由は、すくなくとも、向こう数年は、NGNがらみがあるので、あわただしい業界となるからです。
そのため、貴重な経験を積む機会が豊富にある状況といえるからです。
あれ?「SIP」は出来るの?と、思うかもしれませんが、残念ながら社会に出る以上、これからやることは「仕事」であるため、振られたことをこなすことになります。要するに、「SIP」が出来るかどうかは、運次第となります。
すなわち、SIPの仕事がやりたければ、
SIPの仕事ができるように、周りをコントロールする
という手段が、一番確実な方法となります。
そして、あわただしい状況だからこそ、こういうコトがやりやすいわけです。
ただ、新卒の学生さんであれば、このような処世術は身についていないと思いますので、まずは、「経験を積む」とわりきって、自分の感覚とマッチする企業を選ぶというのが、現実解かもしれません。
あわただしい状況ですので、みるみると経験が積めることでしょう。そして、いろいろ見えてきたところで、次のステップを考えればよいのです。
補足として、IT業界ってやつは、数年単位でやることが遷移していくことが、ざらにあります。私自身、SIPをやり始めたのは、社会人3年目です。それまでは、Webアプリをやっていた時代もありましたし、ネットワーク管理・運用をやっていた時代もありました。
ですので、現時点では、「一生をSIPに捧げる」とか、気を張るのではなく、「本当のやりたいことを見つけたときに、それをやるための方法論を身につける」程度の感覚が妥当ではないかと思います。
なぜ、このような話をするかというと「やりたいことをやる」=「自分の信じた思いを貫く」となり、結局、精神論的な話になります。
技術力や業界経験なんてものは、あとから継ぎ足せるし「減らない」のですが、この「思い」というやつは、始めたときからいろいろな障害により「減っていく」のです。
ですので、この「思い」に自信がなければ、障害からのダメージを減らすために経験を積むことを強くお勧めします。(つまらない大人とか、攻めないでください>< 本当に、これは重い話なのです。。。)
このへんの話は、RBCの最首さんのブログを、参照してください。
では、どこに飛び込むべき?というところですが、大枠は、下記のような感じかと思います。業界経験がない状況では、これ以外の分類、または、詳細な分類は、五十歩百歩かなと思います。どこいっても、それほど、違いはないと。
ベンチャー系・・・即戦力の技術が身につく傾向がある
キャリア系・・・・・・業界を見渡せて、いろいろなコネを作れる傾向がある
ベンチャー系だと、(現時点では、キャリアさんに支配されているこの業界で)コネが作りにくい分、後々、ビジネスが大変かもしれません。
大手系だと、ビジネスはしやすいかもしれませんが、それが、「しがらみ」となって、足かせになるかもしれません。
あくまで、傾向です。で、何によって決定されるかというと、そのときに知り合った人に依存します。こればかりは、運の要素を多分に含んでいるので、なんともしがたいところであります。
以上、長々と書いてきましたが、何が言いたかったかというと、この業界「どこいっても大差ない」、自分の「思い」を実現する(維持する)ために、「行動」が必要、そして、よりよい行動をするために「経験」が重要って話です。
身も蓋もない結論なのですが、自分の思いを実現するためには、急がば回れということで。
ついしん
この結論的話がいいたくて、書いたエントリーなので、無理がある流れになってますね。。。すみません。。。
- by noritsuna
- at 17:35
comments
本当に為になるお話が聞けました^^
ありがとうございます。
このblogに出会えた事が私の持っている
運だと感じています。
今後も欠かさず読ませていただきます。
奇想天外さん
そういってもらえるとうれしい限りです。
さきほど見たのですが、情報通信政策に深くかかわっておられるクロサカタツヤさんが「わが心の情報流通 http://japan.cnet.com/blog/kurosaka/2008/02/09/entry_25004988/」のエントリーで、結局、精神論の話になってしまったのは、偶然ではないのかなと感じています。
やはり、この業界は、魑魅魍魎が跋扈しておりますので、最低限の武装をしてから、冒険するのがよいのかもしれません。