2007年02月05日

MVNOで新市場を開拓する

MVNOで新市場を開拓する--ウィルコムの拡大戦略」との記事です。

本Blogでは、何度か取り上げているMVNO関連の話題なのですが、やはり、MVNOという語の普及率は相当低いらしいので、これを機になんとなく覚えていただければと思います。

「MVNO(Mobile Virtual Netwaork Operator)」とは、

携帯電話やPHSの通信事業者から回線を借り、独自のモバイルサービスを提供する事業者

ということです。設備だけ借りて、その上でモバイルサービスを展開しようという事業者のことです。
NTTさんから、ADSL回線やFTTH回線を借りて、インターネット接続サービスを提供しているISPのようなものを想像してもらえればOKです。

そして、何がうれしいかと言えば、その恩恵を受けうる例としては、「iPhone」といえるでしょう。もう少し、身近なものとしては、NDSやPSPなどのケータイゲーム機にケータイ電話機能がついていたら、おもしろいと思いませんか?というように、無線通信機能がつくと、俄然、おもしろくなるデバイスというものは結構あったりするのです。
さらに、このデバイスの上で新しいサービスなどを展開することも可能でしょう。「iPhone」であれば、その上で「iTS」をサービスすることが想像できます。と、いろいろとおもしろい可能性を秘めているのが、MVNOなのです。

しかし、このときにネックになるのが、

ケータイデバイスの開発

になるわけです。無線系の技術はもとより、小型化するための技術など、1から作っていてはいくらお金があっても足りないわけです。(今までの資産があるケータイキャリアさんでさえ、新端末の開発には、一台数億円かかるらしいですし。)
さらに、無線系の技術であるCDMAなどは特許の固まりであり、特許の利用許可を取る契約だけでも非常にハードルの高いものになっているそうです。
逆に、これがあるため、なかなか参入ができない状態になっており、絵に描いた餅なのです。

そこで、WILLCOMさんは、無線通信機能などケータイのキモをモジュール化した「W-SIM」を提供しているというのが、今回の記事の内容です。
たしかに、「W-SIM」は、MVNOを現実のものとするための現実解の一つである思います。



※今回は、ハード側からの視点で書いています。ソフト側としては、自由に使えるデバイスさえあればよいわけですが。。。今後に期待というところですね。その辺は、こちらのエントリーの最後に希望の光があります。




ちなみに、他のキャリアさんは、こんな感じです。
座長と携帯電話事業者で意見対立,SIMロックなど議論する総務省研究会

私としては、SIMフリーにして、端末組み込みやすくする方がシェアが広がると思うのですけどね。
NintendoDSやPSPのようなケータイゲーム機に、SIMを刺せば、ネットワーク機能が使えるようになったら、また、世界が広がると思います。そして、このような使い方であれば、一枚のSIMを使い回すより、が複数のSIMを持った方が便利であるため、一人で複数契約してもらえるという可能性があり、頭打ちしている加入者数をのばせるかと思います。

追記(2007/02/07)

ドコモの“村社会論理”露呈--モバイル研で消極姿勢に非難集中」という、総務省が2月2日開催した「モバイルビジネス研究会・SIMロック解除」の記事です。

今までの議論で、あまり見かけない「具体的にどうするの?」という部分です。
まさに、この「IPネットワークに関しては携帯キャリアに接続に関する約款がないこと」はキモ中のキモですね。

MVNO協議会の福田氏に対して、「ここが変わればうまくいくという点を具体的に指摘して欲しい」と要請があった。福田氏はそれに応じて、通信料金の設定権が接続事業者側にないこと、そして音声と異なりIPネットワークに関しては携帯キャリアに接続に関する約款がないこと――の2点が大きな問題であると主張した。


なかなか、強烈な指摘もされています。

MVNOについて「黒船はもうそこまで来ている。(ドコモが主張する)『事業者間のWIN-WIN』と、MVNO協議会が主張する『ユーザーも含めたWIN-WIN-WIN』は、まったく違うもの。事業者だけのWIN-WINというのはムラ社会・規制社会の論理」と、ドコモの主張をユーザー視点を無視した企業論理であることを示唆した。

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